氏 名
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中野 清香
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所 属 |
戦友会員
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掲 載 日 |
令和04年01月31日
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表 題
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1.靖国神社の霊璽簿について |
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本 文
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靖国神社の御祭神二百四十六万余は一柱一柱、きちんと名票が確認されており、ただ多くの霊を誰だか分からないけれども漠然と祀っている訳ではない。 従って無名戦士の霊とは異なるのである。神殿の霊璽簿に一柱づつ氏名が記されている。 連隊本部の書記として戦没者関係の業務に携わっていた私は昭和19年1月頃、この霊璽簿を書いた記憶がある。それまでの問に戦死した戦没者のうち、戦死が確認された三名か四名の名前を一人づつ短冊形の紙に毛筆で書いたと思う。 連隊本部や中隊指揮班の事務室には、書類を清書する達筆な兵が集められており、これを筆耕と呼んでいた。彼らに書くよう命じていたら、甲木准尉から「自分で精魂を込めて書くんだ」と言われ、更に「軍司令部から少なくとも二三回の書き直しを命ぜられる筈だ」と言われた。「靖国神社に祀る神聖なものだから念には念を入れて書くように」とのことだろうと、丁寧に書いて提出した。北支では師団司令部から何回も書き直しを命ぜられた様である。 しかしニューギニアでそんな悠長なことが出来る筈がない。この霊璽簿を書いたのはこの時が最初で、また最後であった。それ以後は熊本の留守部隊に於いて書かれたものと思う。 |